辛いカゼから一刻も早く回復したい。その方法のひとつが明らかになった。酢酸亜鉛の摂取だ。3つのランダム化二重盲検試験のメタ分析で判明したことは、酢酸亜鉛を摂取すると、カゼからの回復が3倍早まるということだ。亜鉛トローチを摂取した患者の70%が5日目に回復したが、プラシーボ群の患者は27%の回復にとどまった。

その上、酢酸亜鉛トローチの効果は、年齢、性別、人種、アレルギーの有無、喫煙、カゼの深刻さの程度に無関係だった。したがってカゼからの回復が3倍早まったことの意味は大きい。亜鉛トローチのあるものは不快な味がするものがあるが、この3つの治験で用いられた酢酸亜鉛トローチにはこのような問題はなかった。
では、どれほど摂取すればいいのか?


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3つの研究における亜鉛の摂取量は1日80~92mg。この用量はアメリカにおける亜鉛のRDA(1日栄養所要量、11mg男性、8mg女性)よりもかなり多い。ちなみに日本では1日12mg男性、1日9mg女性。

しかし、カゼとは関係のない他の治験で、1日100~150mgの亜鉛を数ヶ月間摂取しても副作用はほとんど見られなかった。しかも、1日150mgの亜鉛摂取は体内に銅が蓄積することで脳、肝臓、腎臓、目に障害が発生するウイルソン病における標準治療である。しかも一生、亜鉛摂取を続ける。したがって1日80~92mgの亜鉛を1〜2週間カゼの症状が出た直後に飲んだとしても、長期にわたる副作用が出るとは考えにくい。

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