がんを退治しようと多くの研究者が奮闘してきたが、今も成功していない。1971年、アメリカ政府は「対がん戦争」を全面的に開始した。そして「対がん戦争」が始まって16年めの1986年、医学分野で最高に権威のある「ニューイングランド医学雑誌」に載った記事は、「我々は対がん戦争に敗れた」と正直に認めた。

肺がんの細胞  NIH

がんを遺伝子レベルで追い詰め、退治するという分子生物学的なアプローチは失敗に終わった(1)。では、もう打つ手はないのだろうか? そんなことはない。がんを飢えさせて殺すという、かつて捨てられた古い考えが現代に復活しそうなのである。

20世紀の初め、ドイツの生化学者オットー・ワーブルグ(1883-1970)は、がんはエネルギー源を断てば治療できると考えた。数十年間、科学界は彼の考えを受け入れなかったが、今は状況が大きく変わった。

どういうことなのか?

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