日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死んでいる。がんは日本人の国民病といってもいい。私の友人や親戚のなかにもがん患者が多くいる。だから、私ががんなっても少しも不思議ではない。もし私ががんになったら、どう対処するだろうか? 幸いにして、がんはすぐに死ぬ病気ではない。時間は十分にある。あせる必要はない。
 まず、私は、がんに対抗する最善の手段を獲得することに全力を尽くす。最善の手段とは、がんについてのこれまでの科学知識の蓄積と、最新の学術論文を組み合わせてのものだ。がんについての知識を総合化する必要がある。

そういうわけで私は、がんについての文献調査を徹底的に行った。そして、得られたがんに対抗するための科学的な手段を1冊の書物にまとめた。それが2015年に出版された「がん治療の最前線」(SBサイエンス・アイ新書)である。

本書の出版後に、がん研究がさらに進み、素晴らしい成果が得られているので、このHPで随時紹介していく。がんを死の宣告ととらえる人もいるが、がんは死の宣告ではない。なぜなら、がんから生還した人が大勢いるからだ。私たちは、がんはなによりもまず遺伝子の病気であり、食べ物や生活習慣とは関係ないように思いこまされているが、本当のところ、どうなのか?

まず、実態を見ていこう。
乳がん、前立腺がん、大腸がんの発症率は、先進国、とりわけ欧米諸国で高くなっている。アメリカやヨーロッパにおけるこれらのがんの発症率は、中国や韓国の約9倍、日本の約4倍にも達している。

アジア人の遺伝子にこれらのがんを防ぐ秘密があるのだろうか? 否、そうではない。がんの発症は、遺伝子の問題ではない。なぜ、そう言い切れるのか?


増殖するがん細胞  by Pixabay

中国では、乳がんを発症する女性がとても少ない。だが、サンフランシスコのチャイナタウンやハワイに移住した中国人や日本人のがんの発症率は、欧米人と変わらない。中国に住む中国人の女性はがんに抵抗する遺伝子をもっているのではない。違いは食べ物にある。

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