1970年代、アメリカでは糖尿病患者が増え続け、当時ウシやブタから抽出して入手するしかなかったインスリンの供給不足が危惧された。打開策は、バクテリアにヒトインスリン遺伝子を入れてインスリンを生産させること。このテーマに天才たちが挑み、壮絶な戦いが繰り広げられた。のちにノーベル化学賞を受賞した科学界の巨人ウォルター・ギルバート、わずか1000ドルの出資金で生まれたベンチャー企業ジェネンテック社、そのチームに参加した日本人研究者・板倉啓壱……。この戦いが遺伝子工学という新しい科学分野の礎となり、バイオテクノロジーという巨大産業を生むきっかけになったのである。科学史上に残る研究競争を、アメリカで板倉啓壱の指導を受けた著者がドラマチックに語る。   

目次
第1章 遺伝子レベルで糖尿病を追いかけろ
第2章 ハーバード大学の生物研
第3章 遺伝子組み換えは安全なのか?
第4章 革命に必要なすべての道具がそろった
第5章 ジェネンテック社誕生
第6章 ヒトタンパク質を大腸菌がつくった
第7章 絶対的エース
第8章 熾烈な争いが進化をもたらす
第9章 ギルバートチームの奮闘
第10章 大腸菌によるヒトインスリンの生産に成功
第11章 ゴールドラッシュが始まった

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