がんの原因はなにか? 読者は、農薬、環境汚染、遺伝、ウイルス、アスベスト、ダイオキシン、それから原発事故による放射能汚染を思い浮かべるかもしれない。だが、これら以上にがんを発生させる原因がある。病気とその原因を統計を使って調べる、これが疫学という学問である。1996年、ハーバード大学の研究者が疫学を使い、アメリカにおけるがんの原因を調査し、報告した(1)。

第1位は「食事」と「タバコ」で、どちらも30パーセントずつを占め、両方あわせると60パーセントに達した。以下、運動不足、遺伝、ウイルス・細菌による感染症などが5パーセントずつ、と続く。


出典:「がん治療の最前線」(サイエンス・アイ新書) by S.Ikuta

がんのおもな原因は、日常、私たちが口に運ぶ食べ物だったのだ。乳がん遺伝子のせいで、将来、がんになる、などと大騒ぎされている遺伝によるがんは、わずか5パーセントにすぎない。

これは驚くことではないし、がんに限定されて適用されるものでもない。どんな民族の伝統医学であっても、病気の進行を抑えるのにかならず食べ物が用いられてきた。その歴史は5000年におよぶ。紀元前500年ころ、ヒポクラテスは「食べ物で治せない病は、医療でも治せない」と述べている。食べ物で病気を治せるとの主張だ。

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