チョコレートは健康に悪いとされてきたが、魅力的な食べ物だ。チョコレート好きはチョコを右手と左手に1個ずつ持って、これがバランスのとれた食事だと主張する、というジョークさえある。だが、このジョークは一面の真実を伝えている。

ココアとチョコレートの原料であるカカオ豆には、フラボノイドの仲間であるフラバノールが豊富だ。このフラバノールが脳の神経細胞を守るという。ココアは認知能力を守り、記憶能力の低下を防ぐ健康補助食品と考えられる。

過去に、ココアフラバノールを短期間、あるいは長期間にわたり摂取した際の認知能力への効果に関するいくつかの論文が発表されている。これらの論文を精査したレビューが、イタリアにあるラクイラ大学のバレンシア・ソシ博士のグループによって発表された(1)。

ボケ予防に効果あり、ココアとチョコレート by Pixabay

言い換えると、ココアフラバノールを摂取して2〜3時間後、あるいはもっと長期にわたってココアフラバノールの豊富な食事をすれば、頭はどうなるか、という問いである。

ココアフラバノールの短期間の摂取による効果を調べるランダム化二重盲検試験の実施例は少ないものの、たいていの論文で認知能力の向上が指摘されている。

すなわち、被験者がココアフラバノールを摂取したところ、ワーキングメモリーと視覚プロセスが向上していた。徹夜すると認知能力が低下するものだが、ココアフラバノールを摂取した女性は低下した認知能力を補うことができた。この結果は、慢性的な睡眠不足の人やシフトで働く人にとって希望が持てる。

また、5日から3ヶ月といった比較的長期にわたってココアフラバノールを摂取した時の効果は、高齢者を対象に調べられた。高齢者の認知能力は、ココアフラバノールを毎日摂取することで改善した。とりわけ著しく改善したのが、注意力、頭の回転のスピード、ワーキングメモリー、言語能力である。しかもこれらの効果は、記憶力が減退した、MCI(軽度認知障害)の高齢者にもっとも顕著であった。

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