2018年3月7日発売の夕刊フジ、ぴいぷる欄で私のことが紹介された。軽妙なタッチの文章は冨安京子さん、そしてカメラは寺川内美奈さんだ。

医療がどんどん進歩して目が回りそうだ。それにともない、新たな病気が作り出された。治療法の選択肢も増えた。寿命が延びたのはいいが、死ぬに死ねないで困っている人も多い。人はどう生きてどう死ぬのか? 人それぞれが考えねばならない時代がやってきた。

 

インフルエンザは5日間寝てなおせ。睡眠障害は昼間体を動かせば解消できる。鬱病に依存性の強い抗鬱剤はもってのほか−などなど薬学分野の専門家らしからぬ〝アンチ発言〟を繰り返している。

話題となった『ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く』(講談社+α新書)『脳と心を支配する物質』(サイエンス・アイ新書)などの著者であり医療評論家・ジャーナリスト。米イリノイ工科大助教授などを経て、帰国後は著作や新聞・テレビ、講演活動を通してライフサイエンスとの正しいつきあい方のススメを行っている。

現代は医療分野からみるとどういう時代だろう。

こんな書き出しで始まった。

そして、こう続く。

「病が細分化され〝可視化〟されていく時代。例えば鬱病や過労死。以前は性格が弱いから罹患するのだ、気持ちを鍛えればかからないなどの根性論での対処法がまかり通っていた。でも今、それらは『鬱病』『過労死』という病名がつく病気として認知されています。医療の進歩は新たな病気をつくり出し、それにともない薬剤や治療法の選択肢も増え続けいている、そんな時代ですね」

とりわけがんの治療法は日進月歩。生田さんはアメリカのベンチャー企業の取り組みを紹介する。

「がん細胞は数時間にわたりセ氏41℃の高熱にさらせば死滅することがわかっています。そこで患者を人工的にデング熱に罹患させ高熱を出させることで、がんをなおそうとする試みが、今、あるベンチャー企業で進んでいるのです」

体温が42℃に上がれば脳死などを引き起こしかねず、41℃のコントロールは極めて困難な治療法。また、アメリカの大手製薬企業では、がんの高価な新薬を開発中。だが、この治療法で得られるのは、2〜3カ月の延命。しかも、成功率はわずか7%と低い。

「なら何もしないでおいしいものでも食べて死んでいくほうがいいと笑うのは簡単です。でも大枚はたいてもその治療法を選ぶ人も現実にいる。治療の選択肢が増えた分、死生観も変化する。だれもがどう生き、どう死ぬかを考えなければならなくなったし、若いときは延命治療を拒否していても死の間際、どんでん返しがあるかもしれない。年齢、家庭環境、子育て時期との関連などと照らせば、僕はそれもありだと思います」

 

以上。