がん細胞のエネルギー生産を妨げれば、がん細胞は死に始める。3-ブロモピルビン酸を摂取したラットとウサギでは、進行性の肝臓がんを完治させることに成功した。それなら、同時にいくつかの代謝経路を阻止すれば、より高い効果が得られるのではないだろうか。これが、ペンシルベニア大学のダングと彼の仲間の狙いである。

この方法によってマウスでは深刻な副作用を伴うことなく、ある種のがんを縮小させることに成功した。期待するのは、治癒ではなく、がんをくすぶったまま燃え尽きさせることであるという。これは、高血圧であってもそれと共生できるのに似ている。

ワーブルグもまた、がんが安定的な栄養素の供給に依存することが決定的な弱点になるかもしれないと考えていた。ワーブルグ効果を発見してしばらくして、彼は発酵に関わる酵素の研究と、がん細胞において、このプロセスを阻止する可能性を研究していた。

ワーブルグが直面した問題は、現代の代謝の研究者が直面する問題と同じである。それは、がんは信じられないほど頑強な敵であるということだ。がんが採用するひとつの代謝系路を阻止することによって、あるケースでは、がんの増殖を遅らせる、あるいはストップさせることさえできる。

しかし、がんは別の道を見つける。たとえば、がんのエサであるブドウ糖の供給を妨げると、がんはグルタミンを使う。ダングは、がんが使用するもうひとつの燃料グルタミンにも言及した。これはまだわからないが、もしブドウ糖とグルタミンを阻止すると、がんは脂肪酸を使うかもしれないのだ。怖いことだが、この可能性は十分にある。

もしワーブルグの物語が歴史的に無視され続けてきたのなら、最も期待できる、がん代謝の薬が数十年間も私たちの前に存在していたことになる。その薬がメトホルミンで、糖尿病の血液中のブドウ糖レベルを下げるのに処方されてきた。

日本で1961年から発売されている「メトグルコ」のジェネリック薬品である。アメリカでは2014年に7,690万件も処方された。数年後には、ある種のがんの治療か予防に使えるだろう。

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