コロナパンデミック発生

中国、武漢が発生源の新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がった。ヒトに感染するコロナウイルスでこれまで知られているのは7種類で、そのうち4種類は感染によってカゼの症状を引き起こす。残りの3種類は、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」の原因であるSARSウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)の原因であるMERSウイルス、そして今回の新型コロナウイルスである。どれもヒトに感染するとカゼの症状を引き起こし、場合によっては重い肺炎、さらには死に至らしめることもある。WHOは、新型コロナウイルス感染症をCOVID-19と名づけた。

新型コロナウイルスの死亡率は2%程度で、同じコロナウイルスに属するSARSの9%、MERSの10%に比べ、高いわけではない。ちなみにインフルエンザの致死率は0.1%ほどである。

それでも、新型コロナウイルスを怖がるのは、高齢者や慢性疾患があり、免疫力の低下している人が感染すると重い肺炎を起こし、死に至らしめる確率が高くなるからである。加えて、このウイルスについて未知の部分が多いことが私たちの不安をかきたてる。当然だが、未知のウイルスであるから、特効薬もなければ、ワクチンもない。

では、お手上げなのかというと、決してそうではない。新型コロナウイルスのパンデミックは、ビタミンCを大量に摂取する「ビタミンCのメガドース療法」を広めることによって劇的に抑えることができると考えられるからである。「ビタミンCのメガドース療法」およびビタミンCの健康効果の詳細は、拙著「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」(講談社)で述べたので、ご興味のある方はご参照ください (1)。

「ビタミンCのメガドース療法」には、ビタミンCを静脈から点滴する方法と、口から飲む経口摂取の2種類がある。点滴療法は正式には「超高濃度ビタミンC点滴療法(Intravenous Vitamin C療法、IVC療法)」といい、統合医療を実践する医師たちによって利用され、とりわけ、がん治療の分野で高い効果をあげている。

数十年前から医者たちは、カゼ、インフルエンザ、ポリオ、B型肝炎など、ウイルスが原因となって引き起こされる感染症を治療してきた(2)。このようにビタミンCの抗ウイルス効果は、数十年前から証明済なのである。だが、メディアはこの事実を広めてこなかった。

ウイルス感染症に立ち向かう際の基本は、人体の抗酸化力を最大にすること、感染したら症状を最小にするために免疫力を高めることである。感染を予防するには1日3,000~9,000mgのビタミンCを数回にわけて経口摂取するとよい。これが「経口メガドース療法」である。それでも、運悪くコロナウイルスに感染するかもしれない。感染したら、治療する。それにはIVC療法が適している。

ビタミンCはがんに効くだけでなく、ウイルスによる感染症にも効果的である。ビタミンCがウイルスを殺しているのだが、そのしくみは、活性酸素のひとつヒドロキシラジカルによってウイルスが不活化されるためであることが明らかとなっている。今では、ヒドロキシラジカルが過酸化水素から発生し、ウイルス、細菌、がん細胞を殺すこともわかってきた。

この感染症と戦うために、中国系アメリカ人のリチャード・チェング博士(MD,PhD)は中国に渡った。そして彼はIVC療法を治療に、そして大量経口摂取を予防に使うように指導している。彼は、ビタミンCによって武漢市に住む家族が救われたNさんの話をケーススタディとして報告している(3)。

 

ケーススタディ、ビタミンCが家族を救った
Nさんは、COVID-19の発生源である武漢市に子供たちと住んでいる。彼女は近所に住む、両親、兄弟とその妻たち6人と定期的に交流していた。彼女は以前から栄養について興味を抱いていたが、あることがきっかけとなってビタミンCに劇的な抗ウイルス効果があることを知ったという。そのあることとは?

彼女の71歳になる母は、いわゆる病気もち。糖尿病と心臓病のために血管にはステントを入れ、逆流性食道炎を含む慢性病もわずらっていた。春節を間近に控えた2020年1月24日のこと、母は38Cとやや発熱ぎみで、セキやクシャミをするなど、カゼの症状を示していた。

Nさんは家族全員にビタミンCを経口摂取するように勧めた。彼女は1日20,000mgのビタミンCを数回に分けて摂取していた。母はあまり気が進まないながらも、娘の摂取量より少なめに飲んでいた。おそらく娘の摂取量の半分。

母のカゼの症状は7日間ほど安定していた。だが1月30日のこと、症状は悪化していなかったが、母は同済医学院(Tongji Medical college)の武漢ユニオン病院で検査を受けることを決心した。同済医学院は中国でもトップレベルの医学部であり、同病院は武漢だけでなく、中国全土でも知られる存在だ。母は自分が新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知りたかったのである。母の予想は的中した。病院で母は、今でいうCOVID-19として知られる肺炎と診断され、ただちに入院した。入院して2日目、母の体温は39.6Cに上昇した。2月10日、ICU(集中治療室)に入った母は人工呼吸器につながれた。

このとき、NさんはIVC療法が存在することを知り、ただちにICUの責任者にIVC療法を採用するように要請した。この要請に医者は同意したが、点滴するビタミンCの量はわずか10gだった。それで、そうした。ICUに入って20日がすぎ、母の状態は大幅に改善し、一般病棟に移った。それでてもビタミンC点滴を継続している。彼女の回復を願うばかりである。

Nさんの母が病院にいるあいだ、Nさん、彼女の兄弟とその妻は交代で見舞にやってきた。彼らが防護用に着用していたのは、ごくふつうのグローブやマスクだけだった。そして母が発症したとき、家族5人はマスクを着用していなかったが、COVID-19を発症した人はひとりもいない。ただし全員がビタミンCの錠剤を摂取していた。

このケーススタディとビタミンCについて、過去に行われた多くの研究や臨床例からわかることをまとめるとこうなる。

1. Nさんとその家族は新型コロナウイルスに濃厚に接触していたにもかかわらず、感染しなかった。その理由は、高用量のビタミンCを毎日摂取したからかもしれない。

2. Nさんの母は71歳と高齢である。高齢者がCOVID-19を発症したときの死亡率の高さを考慮するなら、IVC療法は、母の回復に大きく貢献したのかもしれない。

3. Nさんの要請によって医者がIVCをすんなり採用することになったのは、現在、中国でIVC療法が臨床試験されているという事実があるからと推測される。

4. ウイルス感染を防ぐのに最も重要なのは、免疫が十分に機能することである。高用量のビタミンC経口摂取は、新型コロナウイルス感染への防御体制を強化すると考えられる。とりわけ、免疫力が低下した慢性病の患者には有効のようだ。

上海市はビタミンCを認めた
上海市は、COVID-19患者の治療にビタミンCの点滴(IVC療法)を認めた(4)。ビタミンCの量は症状の重さによって変わるが、目安は、体重1kg1日あたり50~200mgである。成人体重を70kgとすれば、この容量は1日約3,500~14,000mgになる。点滴は非常に有効である。なぜなら、ビタミンCの効果は点滴するほうが経口摂取するよりも少なくとも10倍は高いからである。

西安交通大学第2病院(Xian Jiaotong University Second Hospital)から発表された声明によると、2020年2月20日午後、同済病院(Tongji Hospital )に入院していた深刻な肺炎症状の患者4人が回復した。同病院では、これまでで8人の患者が回復し、退院している。

こう続く。IVC療法は臨床で好結果を残した。肺炎患者や深刻な症状の患者には、入院直後からIVC療法をできるだけ速やかに開始すべきであると確信する。大量のビタミンCを患者の体内に注入することで、強力な抗酸化効果がえられるだけでなく、炎症反応を抑える。これまでの多くの研究から、治療効果はビタミンCの用量に左右されることがわかっている。高用量のビタミンCは、ウイルス感染を防ぐだけでなく、急性肺炎や急性呼吸器障害を治療することができる。

参考文献
(1) 「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」(講談社+α新書)、本書に多くの参考論文を掲載してある。

(2) Hickey S, Saul AW (2015) Vitamin C: The real story. Basic Health Pub.

(3) Vitamin C Saves Wuhan Family from COVID-19, by Richard Cheng, M.D., Ph.D.
Orthomolecular Medicine News Service, Mar 5, 2020

(4) Shanghai Government Officially Recommends Vitamin C for COVID-19 ,
by Andrew W. Saul, Editor-in-Chief Orthomolecular News Service, March 3,2020