ASDの子供の特徴は、彼らの多くに腸の問題があることだ。
最近、とくに注目されているのは、便秘、腹痛、下痢、腹の張り(腹部膨満感)といった消化器系の障害、
すなわち腸の障害がASDの多くの子供に共通することだ。
ASDの子供にもっとも頻繁にあらわれる症状が、便秘である。親の報告と小児消化器系の専門医によるとASDの子供の85%が便秘持ちなのである。
要するに、ASDの子供の9割は腸に障害がある。
ASDの治療には、行動療法、スピーチ療法、栄養療法などがある。
だが、社会性の欠如、くり返し行動といったASDの中心的な症状を治療する薬として承認されたものは、いまだに存在しない。
だが、希望がある。ASDの治療法の開発において非常に有望視されているのが、腸内細菌の活用である。
ということは、腸内細菌がASDに関係があるのか? そうだ。ASDに限らず、腸内細菌は脳の正常な発達、脳の働きに深く関わっている。

脳と腸と腸内細菌の三者が密接につながっている。
腸内細菌は、食べ物の消化を助け、免疫系を訓練し、有害細菌の過剰な増殖を阻止するなど、私たちの健康に有益な働きをしていることは以前から知られていた。加えて、最近の研究で、腸内細菌は脳の発達と健康に深く関わっていることが明らかになった。
こういったことから、腸内細菌を変えることによって、ASDをはじめ、多くの脳の病気を改善することへの期待が世界の科学者や医者の間に広まりつつある。

詳しくは、拙著「脳と体を健康にする腸内細菌と脳の真実」(育鵬社、1,760円、税込)をお読みください。