日本を含めた先進諸国において発達障害の子供が激増している。代表的な発達障害は、ASD(自閉スペクトラム症、Autism Spectrum Disorder)、ADHD(注意欠陥・多動性障害、Attention Deficit Hyperactivity Disorder)、LD(学習障害Learning Disorder)である。ASDは対人関係が苦手で、「空気が読めない」、「こだわりが強い」といわれる。ASDの特徴は、コミュニケーションの欠如、社会性の欠如、くり返し行動である。
自閉症の仲間に「(知的障害をともなう)自閉症」や「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがある。病名がまぎらわしいのは症状ごとに病名がついているためであり、専門家たちの間にさえ混乱が見られた。
そこで2013年、米国精神医学会はこれらの自閉症をまとめてASD(自閉スペクトラム症)と呼ぶように改訂した。「スペクトラム」とは、「連続している」という意味で、ASDには、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群などが含まれる。

ADHDは「不注意」で「落ち着きがない」といわれる。要するに「そそっかしい」のである。
そしてLDは、読み書きや計算が苦手なのである。

「腸内細菌と脳の真実」
アメリカでも発達障害の子供が激増している。CDC(米疾病予防管理センター)によると、2009~2017年に3~17歳の子供を調査したところ、6人に1人が発達障害と診断された。
発達障害のうちでもっとも古くから研究されているのがASDである。アメリカでのASDの発症者は、1970年の10000人に1人、1985年の2500人に1人、2001年の250人に1人、2018年の36人に1人、と年々急増している。発達障害とりわけASDの子供の急増はアメリカ社会において深刻な問題となっている。わが国でも深刻な問題である。

では、発達障害を抱えた子供は日本にどれほど存在するのか? 文部科学省の報告によると、国公私立の小・中・高等学校において、通級による指導を受けている児童生徒数は1993年の12,259人、2003年の33,652人、2013年の77,882人、2013年の134,185人である。ASDの発症者は、調査をとり始めた2006年の
3,912人、2016年の15,876人、そして2019年の25,635人と急増している。

なぜ、世界中でASDに代表される発達障害がこれほど急増しているのか?
そのヒントは腸にある。