疲労のいちばんの原因だが、無視され、誤診されている副腎疲労
腎臓に乗っている2個の副腎はクルミより小さく、グレープよりも軽いが、あなたのからだで最も重要な働きをしている。副腎はストレスマネージメントを司っている。副腎はストレスの腺として知られる。ジェームズ・ウイルソン博士は「アドレナル・ファティーグ」(邦訳、本間良子訳)で、「ケガや病気、仕事や対人関係の問題に至るまで、ありとあらゆるストレス源にからだが対処できるようにするのが、副腎の仕事である。回復力、エネルギー、耐久力、そしてまさに生命そのものが、副腎の正常な機能にかかっている」と述べている(1)。
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もし副腎が過度に疲れると、アドレナル・ファティーグ(副腎疲労)として知られるエネルギーの低い状態になる。すなわち、からだが常にグッタリし、気分が低下し、うつ状態になる。慢性的な疲労感に襲われる。アドレナル・ファティーグを一言で言い表すと、全身を襲う極度の疲労感である。
アメリカでは成人の約80%が人生のある時期にアドレナル・ファティーグを経験するという。だが、アドレナル・ファティーグはアメリカで最も適切に診断されない病気のひとつでもある。では、副腎の働きは何か?
副腎の働き
人体には2個の副腎が腎臓の上に位置している。内分泌腺のひとつとして副腎は、50種類以上のホルモンを放出する。その多くはヒトが生きるのに欠かせない。代表的なホルモンをあげておこう。
・グルココルチコイド(糖質コルチコイド)
その代表であるコルチゾールは、食べ物をエネルギーに変換する、血糖を正常にし、ストレスに対応し、免疫系における炎症反応をコントロールする。
・ミネラルコルチコイド(鉱質コルチコイド)
その代表であるアルドステロンはナトリウム、カリウム、水のバランスを適切に維持することで、人体が血圧と血液量を安定に保つのを助ける。
・アドレナリン
心臓の鼓動を速め、筋肉と脳への血流を増やす。加えて、アドレナリンは肝臓でグリコーゲンをブドウ糖に変えるのを助ける。
副腎で合成されたこれらのホルモンと他のホルモンが、あなたのからだの機能をコントロールする(2)。以下に示す。
・血糖を安定にし、炎症をコントロールするなどの代謝プロセスを維持する。
・塩分と水のバランスをとる。
・Fight or Flight(闘争か逃走か)反応をコントロールする。
・妊娠を維持する。
・子ども時代と思春期における性成熟を開始し、維持する。
・エストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンを生産する。
副腎はあなたがストレスに対応するのを助けるが、ストレスが過剰になると壊れてしまう。言い換えると、副腎の最大の仕事はFight or Flightのストレス応答であり、アドレナリンと他のホルモンの放出を増やすことである。