ストレスが病気の主な原因である。古代ヒポクラテスの時代から、ストレスによって気管支ぜんそくが生じることは知られていた。西洋医学の祖と呼ばれるヒポクラテスの継承者のひとり、ギリシアの医師ガレノスは、2世紀に憂うつな女性は楽観的な女性に比べて、がんが発症しやすいだけでなく、増悪もしやすいことを記載している。

1960年代、アメリカのメイヤー・フリードマン博士とレイ・ローゼンマン博士は、過剰な心理的ストレスが心臓マヒの原因になっていることを明らかにした。そして彼らが多くの心臓病の患者を調べたところ、患者に特有のパターンが発見された。これを「タイプ A 行動パターン」といい、このような性格の人をA型人間という。A型人間は過労死しやすいことが確認されている。

典型的なA型人間は、企業のトップにいる人間だといわれてきた。企業の盛衰を両肩に担う彼らは、1日十数時間働くのは当たり前で、そのうえ、毎日、たくさん酒を飲み、大きなサーロインステーキをペロリと平らげると思われているからだ。このタイプの人は、40代後半になるころ、心臓マヒになっても不思議ではないとされた。

敵愾心で心臓病に Pixabay

だが今では考え方が変わった。心臓病リスクのより正確な尺度として、A型人間の特徴のひとつ、敵愾心が用いられるようになったのだ。敵愾心の強い人は、それほど怒りを誘う状況でなくても血圧が上がることが判明している。

2000年、アリゾナ州立大学のメリー・デイビス博士は、こう報告している。被験者と意見の対立する人を用意して議論させたところ、敵愾心が強いと診断されていた人の血圧は敵愾心の強くない人に比べ、大きく上昇した。

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