心臓病の原因は、砂糖の過剰摂取か、それとも飽和脂肪の過剰摂取なのか? アメリカで1960年代に熱く議論されたが、飽和脂肪が心臓病の犯人であるという結論に至った。

それで、飽和脂肪の摂取を減らすように、という官民あげての大キャンペーンがアメリカでも日本でも繰り広げられた。これを忠実に守ったアメリカ人は、著しく肥満になり、心臓病がどんどん増えていった。

最近、明らかになったのは、砂糖産業は有力な科学者にカネを支払い、砂糖と心臓病とのつながりを否定し、その代わりに、飽和脂肪が心臓病の犯人であると宣伝していたことだ。私は、HP上にその詳細を「砂糖産業の過去のスキャンダルが明るみに!」という記事で書いた(1)。 

砂糖の摂取が心臓病だけでなく、ニキビ、うつ、肥満、低血糖症、糖尿病、依存症などを引き起こすことが判明している(2)。

昨年、イギリスのサリー大学の研究者が、健康人が砂糖を大量に摂取すると心臓病のリスクが上がる、という画期的な論文を「クリニカル・サイエンス」誌に発表した (3)。 健康人に砂糖を多く含んだ食べ物を食べさせたところ、血中の脂肪と肝臓に蓄えられた脂肪が増加したというのだ。 

内容はこうだ。まず、被験者を肝臓に蓄えられた脂肪が高い群と低い群の2つに分けた。この2群に高砂糖食または低砂糖食を与え、肝臓の脂肪がどう変化するかを観察した。なお、肝臓脂肪の高レベル群は、非アルコール性脂肪肝(non-alcholic fatty liver disease,NFALD)として知られている。

ここでいう低砂糖食とは、1日140キロカロリー以下の砂糖を含んだ食べ物を指す。これは、推奨される砂糖の1日摂取量に近い。高砂糖食は1日650キロカロリーの砂糖を含んだ食べ物である。

高砂糖食を摂取して12週間後、高脂肪群(NFALD)は、心臓マヒ、脳卒中のリスクを増大させる脂肪代謝が変化した。脂肪代謝とは、血液中で脂肪が分解され、細胞に利用されるプロセスのことである。 

そして肝臓脂肪が低レベルの健康な男性が大量の砂糖を摂取すると、肝臓脂肪が増加し、脂肪代謝は高脂肪群(NFALD)の男性に似てきた。 

論文の共著者のひとりで栄養代謝学のブルース・グリフィン教授は、こういう。

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