2007年5月、63歳の看護師である裕子は胃腸の具合が悪かったため、クリニックで検査を受けた。がんの腫瘍マーカーテストで異常に高い数値がでた。そこで超音波診断を受けたところ、膵臓に塊があることが確認された。さらなる検査の結果、膵臓がんと診断され、余命6カ月を宣告された。

経験を積んだ看護師である彼女は、たとえ相当に激しい治療を施したとしても、病気の今後の見通しはかんばしくないことがすぐにわかった。

残りの人生における人生の質を最善にするために、彼女は手術、放射線、抗がん剤による通常の治療を拒否することを決意した。6月になって、彼女は食事と生活を一変させ、栄養療法を開始しした。まず、ビタミンCの点滴療法とサプリメントの摂取を実行し、食事は、肉や乳製品の摂取をやめ、植物性食品を中心に切り替えた。また、毎朝、30分のウォーキングも開始した。

「がん治療の最前線」(サイエンス・アイ新書)By S.Ikuta

どれがとは特定できないが、これらの組み合わせが功を奏したのだろう。彼女はどんどん元気になった。そして2008年4月、超音波検査をしたところ、驚くことに膵臓の塊はすっかり消え、どこにも異常は発見されなかった。彼女はがんから回復し、元気な毎日を送っている。